
授業名 | ユニバーサルデザイン出前授業 |
企業名 | 株式会社日立製作所 |
コーディネート団体 | 特定非営利活動法人スクール・アドバイス・ネットワーク |
備考 | 実施地域 : 首都圏 ●実施学年 : 小学生(中学年~高学年) ●授業数 : 2時限(90分間) ●必要な設備 : もぞう紙、カラーマジック |
おもいやりをカタチにしてみよう!
「ユニバーサルデザイン(UD)」とは、年齢・性別・身体の状態などにかかわらず、誰もが使いやすい製品やサービスを考えていこうという概念。
身近な家電から情報サービス、公共システムに至るまで「社会」と「生活」にかかわる全てのものにとって、今や欠かすことのできない考え方である。日立グループでは、社会貢献活動の一環として、ユニバーサルデザインを通じた教育分野への支援プログラムを実施している。
「「ユニバーサルデザイン出前授業」では、ユニバーサルデザインの具体的な事例と体験を通して学んだこと・感じたことをもとに、子どもたちがグループにわかれて使いやすい製品を考案し、発表を行う。この授業を通じて「誰もが利用しやすい生活空間や地域社会の姿」「誰もが暮らしやすい環境にするために、自分たちができること」を考えるのがねらいだ。


基本カリキュラムは、事例や体験を通じて学ぶユニバーサルデザインの基礎、テーマに沿って使いやすいデザインを考案するグループワーク、身近なユニバーサルデザイン製品の事例紹介、質疑応答という構成。視覚障がい体験では、袋の中に入ったリモコンを触ってそれが何かを当てたり、目を使わず手先の感覚だけで錠前をはずすゲームなどを行い、普段何気なく行っていたことが、障がいのある方々にとってどれほど難しいかを身をもって学ぶ。
学校の要望に応じて、地域の視覚障がい者をゲストスピーカーとして招き、体験を語っていただくこともある。障がいを実際に体験することで、障がいのある人への正しい理解も進み、「これからは外でも障がいのある人を見かけたら、積極的にお手伝いしたい」という声も聞かれるようになったという。
グループワークの課題は「誰にでも使いやすいテレビリモコン」のデザイン。視覚障がい体験で感じたことを生かし、さまざまな人にとって使いやすくするにはどうしたらいいのかを班ごとにアイデアを話し合い、短い時間の中でひとつのデザインを作りあげていく。
「リモコンを丸い形にして、他のリモコンと区別しやすいようにする」「頭で思い浮かべただけでチャンネルが変わる」「電池がなくなったら自動的に充電してくれる」など、たくさんの柔軟な発想がとびだし、秀逸なアイデアには周りから「おおっ」というどよめきが起こることも。
全体発表でもユニバーサルデザインを意識することで、「ここに…これが…」という説明ではなく、「左上に丸いボタンがあって、その丸いボタンの右にスピーカーがあります」というような、誰でもわかりやすい話し方を心がけるようになってくる。

授業の後にホッチキスを持ってきて「これもユニバーサルデザインかな」と聞きに来た子どもの姿もあり、授業をきっかけに世の中をユニバーサルデザインの切り口から見て考える習慣づくりにつながっているようだ。
授業を担当するのは事前研修を受けた社員ボランティア。回数を重ねるごとに伝え方や課題に工夫をこらし、より楽しくわかりやすい授業へと磨きをかけている。
黄色いジャンパーをまとった従業員ボランティアの姿にはじめはぎこちなかった子どもたちも、授業終了後にはすっかりうちとけて、活発な質問が出るようになる。仕事も担当業務もさまざまな「働く大人」とのふれあいもまた、子どもたちにとって大きな収穫のひとつといえる。

授業をうけた子どもの声
- 身近なものをちょっと工夫するだけで多くの人が便利になる。ユニバーサルデザインの考え方を通して、いろんな人の立場で考えることの大切さがわかりました。(小学6年生)
- 世の中には困っている人がたくさんいると思いました。困っている人がいたら、声をかけてお手伝いをしようと思います。(小学4年生)
授業を行った企業の感想
- ユニバーサルデザインの概念を通じて子どもたちによりよい社会のあり方を考えてもらう授業ですが、それと同時に、社会のために自分はいったい何ができるのかを強く意識して行動するようになりました。
- 子どもたちの素直な感性に出会うたびに、新鮮な驚きと喜びを感じます。授業を通じて、自分自身も多くのことを学ばせてもらっています。
- 活動に参加してから、日立グループで働くことに誇りを持つようになりました。